学校教育では、子供達・教職員の安心安全を守るために学校の実情に 応じた「危機管理マニュアル」を作成している。マニュアルでは、いじ め・体罰・虐待など、特定の課題に限定すべきではない。現代的課題で ある感染症・情報漏洩・情報モラル・スマホ依存など、また、通学路や 防犯・防災、交通事故・交通違反、食物アレルギーなどの問題事象。さ らに、思春期にある子供達を巻き込む情報通信網を利用した性的に過激 な映像や雑誌類の横行など、日常の生活環境面での危機もある。マニュ アルにはグローバルな視点から、日常生活の複雑多岐に及ぶ課題に対応 した内容が網羅されていなければならない。 また、マニュアルの完成で安堵するのではなく、教職員、保護者、教育 委員会、交通指導員などの学校教育関係者や外部の教育関係団体との共通 理解を図る中で、危機管理意識の浸透を周知徹底することが大切である。 現代社会の潮流は予想以上に速いスピードであり、作成したマニュアル の定期点検及び改善を図ることは必要不可欠である。点検に際しては、学 校を取り巻くさまざまな状況の変化、国内外で起こった事故や災害の事例 から学んだ教訓、先進校視察などで実践されている取り組みの具体的事例、 さらには公的な根拠(法令・通達等)も考慮し、常に俯瞰的な視野からの 判断を加味した改善(加筆訂正)を行うことが重要である。
21世紀は「教師力の時代」
現代社会には少子高齢化だけでなく、国際化、核家族化、情報化、女性の社会進出などによる生活環境や社会構造の急激な変化がある。 地域性はあるものの、教育でも英語や道徳の教科化、ICT・プログラミング教育の導入などによる、教師の多忙化が話題となっている。 家庭や地域社会の教育力の低下が叫ばれて久しい。しかし、大人が現 象面を取り上げて嘆いている限り、課題解決どころか子供達の明るい未 来は遠ざかるばかりである。 子供達を理解して指導できる身近な専門家は教師である。教師が存在 する学校教育から家庭や地域の教育に切り込むことこそ課題解決の第一 歩である。教育においては「受け身の姿勢からは停滞しか生まれない」 という言葉を肝に銘じて行動することを切に期待したい。 指示待ちからは、子供達に「社会を生き抜く力」を育むための教育の 姿が見えることはない。多忙な社会生活を営んでいる保護者や家族、地 域社会の皆さんには気づく機会の少ない子供達の長所や短所を子供達に ストレートに気づかせ、長所は褒めて伸ばして潜んでいる可能性を発見 し、子供達の夢や希望を引き出し、それが叶うように支援する教育のプ ロとしての「教師力」は重要である。 「教師力」を身に付けようとする意思を持ち、日々精進する教師は多 く存在する。近未来を心豊かにたくましく歩まなければならない子供達 へのキャリア教育、将来の夢や希望の実現に向けての進路情報収集は大 切である。有意義な情報を各教科指導に反映させることで、ICT活用 教育に見られる指導方法や指導内容への改善に結び付かせることが可能 である。 つまり、教壇に立つ教師のアクティブな姿勢こそ、変化の激しい不確 実な未来社会に子供達が意欲的にチャレンジし、たくましく生き抜く力 を身に付けることに直結しているのである。
【1】 リスク・マネジメント(risk management) 「危機が発生する前に予知・予測して対応策を考える。」 ※子供達に身に付けさせたい能力 ⇒ 事件・事故に巻き込まれない資質の育成
※教職員や保護者、地域の大人が習得しておきたい能力 ⇒ 問題兆候の発見力、危機への予知能力 子供達に負けない「学ぶこと」への意欲と姿勢
〔学級・学年・学校指導、避難訓練〕 ⇔ 防災教育、情報モラル教育 〇 就寝する前に外出用衣服は、すぐに着替えできる場所に置く。 〇 地震による揺れを感じたら、周囲の状況を確認して「落ちてこな い・倒れてこない・移動してこない」場所に身を寄せる。 〇 ブロック塀、ロッカー、ガラス、額などの落下物や転倒物、液状 化や隆起するマンホールなどを注視する。 ◆ 基盤にあるのは「命の大切さを知り、自分を大切にし、自分を守 ること」である。学習指導要領の性教育についての文言であるが、 保健体育科、理科、道徳科など命の大切さに関連する教科等での 横断的な教育課程編成で系統的、組織的に指導するようにする。
【2】 クライシス・マネジメント(crisis management) 「発生した危機を対象として被害を最小限に押さえる対応策」。 〇 事故・事件の内容により、教育機能では解決困難なケースがある。 ⇒ 医療・健康福祉・警察・消防等の専門機関との連携を図る スクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(S SW)が機関とのコーディネーターの役割を担う。 〇 事故・事件の内容を時系列に箇条書きに記録しておく。 〇 写真や映像など関係資料や物品などは保管しておく。
〔マニュアルに沿っての危機対応「さ・し・す・せ・そ」の原則〕
『さ』・・・最悪の事態を想定しながら 『し』・・・慎重に対応を考える。 『す』・・・素早く情報をキャッチし。 『せ』・・・誠意をもって、 『そ』・・・組織で対応する。
【危機管理の流れ概要】
〔事件・事故の発生〕
管理職(校長・教頭) ← 現況報告(窓口は教頭) ← 生徒指導主任・関係者 ↓ ※時系列でMemoする用意、カメラ
(第1段階) 事実の確認 ← 生徒指導委員会or緊急対策委員会 ↓ ※校長は状況判断を行い、程度を考慮して委員会開催
(第2段階) 情報収集 ↓ ※事故報告様式で報告書作成、5W1Hにまとめることが重要 ◆教育委員会への第1報、指示を仰ぐ(以後、情報共有)
(第3段階) 校長判断及び指示、役割分担の明確化 ↓ 〇組織対応の指示(臨時職員会) 〇被害者・加害者、関係保護者には個別的に対応 〇在校生への心のケア(SC・SSWの活用)、全校集会
(第4段階) 説明責任(管理監督責任) ↓ ※教育委員会も同席の下での臨時保護者会or臨時役員会の開催 ※保護者だけでなく地域の関係者への説明の必要性も考慮
(第5段階) 今までの経過の点検・評価、そして改善 ※校長は職員会で一連の対応の反省 ⇒ 指導体制の見直し ※教頭・教務主任は事件事故の顛末と反省、今後への改善策などを簡 潔にまとめ、校長裁決後に教育委員会に提出 【「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たち の可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実 現~」】 ~令和3年1月26日 中央教育審議会答申~
1「個に応じた指導」の重視 Adaptive-Learning 個別学習や習熟度別学習、興味・関心に応じた課題学習、補充的な 学習や発展的な学習等の個に応じた学習活動を取り入れる。 ①「指導の個別化」 子供一人一人の特性や学習進度、学習到達度等に応じ、指導方法や 教材、学習時間等の柔軟な提供・設定を行う。 ②「学習の個性化」 子供一人一人が自身の興味・関心などに応じて、探究課題や情報収集、 まとめ方などの学習活動や学習課題を自らの学習が最適となるように 調整する。 ③「個に応じた指導」 ⇔ Drill-Learning(Drill学習による訓練) ① と②を教師の視点から整理した概念。学習者の視点から整理した概 念は「個別最適な学び」である。⇔ 意欲の出るDrillの探索・発見
2「将来の学校像」 ①「個別最適な学び」が進められるように、きめ細かな指導・支援をする。 ②子供達が自らの学習状況を把握し、主体的に学習調整ができるように指 導していく。 ③「孤立した学び」に陥ることのないように、多様な他者と協働しながら 資質・能力を育成する「協働的な学び」を充実する。Group-Learning
3「令和の日本型学校教育」における学びの姿 Deep-Learning
①ICT環境や先端技術を活用し、基礎的・基本的な知識・技能や言語能 力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能 力の育成が行われる。 ② 個々の学習状況を教師が一元的に把握でき、個別支援が可能になる。 ③学び合いや多様な他者と協働し、主体的に課題を解決しようとする探究的な学び、様々な体験活動を通して地域の魅力や課題などを知ることで、地域の構成員の一人であるとの意識が醸成される。 (主体的・対話的で探究的な「深い学び」は、感動を運んでくる)
※ 参考文献 現代学校経営シリーズ 68
以下のpdfファイルをご覧ください。
2023.pdf (11月校長会より)
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