10月校長会より

【教育振興基本計画】

教育基本法に示された理念の実現と教育振興に関する施策を総合的・計画的に推進するため、政府が5年毎に策定する計画です。
文部科学大臣から中央教育審議会に諮問され、中央教育審議会の答申を受けた後で、閣議決定を経て国会で報告されます。
 計画期間は5年間であり、今期の対象期間は2023(令和5)年度から2027(令和9)年度までの計画です。

[計画策定の根拠]
 教育基本法の(教育振興基本計画)
第十七条 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるように努めなければならない。

以上のことから、「教育振興基本計画」は、地方教育行政の指針としての役割を担っています。「教育基本法」を時がたっても変わらない永遠のものであるとする『不易』と社会や時代の潮流に応じた進展変化である『流行』を取り入れ、両者のバランスをとる中で教育の普遍的使命が果たされています。とはいえ、学制の公布から150年、今期は新地・駒ケ嶺小
学校の創立記念に通じます。当時、GIGA端末の更新、教育DXの推進等が重要な教育投資になると予想できたでしょうか。
[教育振興基本計画にある2つのコンセプト(Concept)]

 教育振興基本計画では、2040年以降の社会を見据えた教育政策として、「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」という2つのコンセプト(概念・あるものに対する大まかな理解)があります。

5つの基本方針  ↓

① グローバル(Global)化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
◎主体的・対話的で探究的な「深い学び」への授業改善、
他者との協働や課題解決型学習の導入を図る。
⇒正解主義からの脱却(学ぶことに喜びがある)
② 誰一人取り残さず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進
◎多様性を受け入れる寛容で風通しの良い学級集団づくり。
  ⇒「同調圧力」からの脱却(個人の尊重)
③ 地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進
◎社会教育の充実による地域教育力の向上、地域コミュニティの基盤強化。
④ 教育DXの推進
◎資質・能力としての情報活用能力の育成と教師の指導力向上、ICT環境の整備、デジタル教科書や教材、教育データ
の分析・利活用、学校の働き方改革への取り組み。
⑤ 計画の実効性確保のための基盤整備・対話
◎2023(令和5)年4月「こども基本法」が施行。こども施策を社会全体で総合的かつ強力に推進していくための法。
こどもの健やかな成長に対する支援、子育てに伴う喜びを実感できる社会の実現に向けた支援の基本事項を定める。
⇒「学び」と「育ち」の両面から健やかな成長を図る。
【ウェルビーイング(Well‐being)】

経済的な豊かさだけではなく、身体的・精神的・社会的にも良い状態にあることで、短期的な幸福だけでなく、生きがいや人生の意義など将来にわたる持続的な幸福を言います。

[学校教育でのウェルビーイング]

子どもたちのウェルビーイングの向上のためには、学校内での教師のウェルビーイングの確保が必要です。
① 子どもたちの成長が実感できること
② 保護者や地域社会との信頼関係が構築されていること
③ 職場の心理的安全性*が保たれていること
④ 労働環境*が良い状態であること
*教育現場での「心理的安全性」は、多岐にわたる多種多様な課題に対峙するには必要不可欠です。子どもたちに起きた課題解決は担当教師一人だけに任せることなく『チーム学校』として知恵と意見を出し合い、最適な解を導き出すことが肝要です。

 *「労働環境」に多忙化解消もあります。特に小学校の授業の持ちコマ数が多く、教職員間・担任と保護者等とのCommunicationの場を設定できない現状があり ます。専科導入等も含めて改善が必要です。

 ※「欧米的な文化的価値観に基づくウェルビーイング」
  ⇒自尊感情や自己効力感が高いことが人生の幸福をもたらすとの考え方(個人が獲得・達成する能力)
 ※「日本・アジア圏の、人と協調に基づくウェルビーイング」
  ⇒人とのつながりや利他性、社会貢献意識など自分と周りの
他者の幸福(協調的能力)
○ 日本では、ウェルビーイングの獲得的要素と協調的要素を調和的・一体的に育むウェルビーイングの実現をめざす 

10月校長会資料 教育振興基本計画.pdf